インプラントの寿命ってどれくらい?

歯が抜けたり抜歯したりした後の治療法として、インプラントを選択する人が増えてきました。

インプラントは顎の骨に土台を埋め込み、土台の上に人工歯を装着する治療法です。

ブリッジや入れ歯に比べて、しっかりと噛むことができ、長持ちすると言われています。

 

では、実際にインプラントの寿命はどれくらいの長さなのでしょうか?

 

実は、インプラントの研究は日が浅く、寿命についての研究は十分だとはいえません。

しかし、9割以上の人が10年以上使い続けており、40年持ったという報告もあります。

ただ、一方で10年持たなかったという人も少なからずいます。

 

インプラントを長く使い続けるには、どのような点に気を付けたらよいのか。

インプラントの特徴とともに説明しましょう。

 

目次

1.インプラントは一生使える?

当然のことですが、インプラントの寿命は素材の種類や埋め込まれた場所、口の中の環境、装着後の手入れなどによって、大きく左右されます。

 

厚生労働省の「歯科インプラント治療の問題点と課題等作業班」が2014年に発表した調査報告によると、インプラントの10~15年後の残存率は上顎で約90%、下顎で約94%。

また、骨移植をともなったケースや抜歯後すぐに埋め込んだケースでは87~92%程度でした。

 

チタン製人工歯根を使ったインプラント治療を確立したスウェーデンのペル・イングヴァール・ブローネマルク博士は1965年からインプラントの臨床応用を始めました。

最初に博士の治療を受けた男性のインプラントは、男性が亡くなるまで41年間、脱落することなく機能し続けたそうです。

 

インプラントは正しく使用すれば、長く使い続けることができるようです。

2.インプラントはブリッジや入れ歯より長持ち?

大多数の人が10年以上使い続けているインプラントですが、入れ歯やブリッジといった他の治療法に比べて、どの程度長持ちするのでしょうか。

 

インプラントと入れ歯、ブリッジを比較してみましょう。

2-1.ブリッジの寿命は?

ブリッジは、失われた歯の両隣を土台にして、人工歯を装着する方法です。

歯の状況や手入れの方法によっても差が出ますが、ブリッジの寿命は7~8年が目安とされます。

 

ブリッジの欠点は、失われた歯の周囲に生えている健康な歯にも影響を及ぼしてしまうことです。

 

土台となる歯はブリッジを装着するため、たとえ健康の歯でも表面を大きく削らなくてはなりません。

そのため、歯が弱くなるうえ、ブリッジによって土台の歯に余計な力がかかり、歯の寿命を短くしてしまう可能性があります。

 

また、ブリッジには食べかすや歯垢が溜まりやすい部分があります。

歯磨きだけでは清掃が難しいため、虫歯や歯周病になりやすい状態となります。

 

虫歯や歯周病になると、再び歯の治療が必要になり、ブリッジを新たに作り直すか、別の方法で失われた歯を補わなければなりません。

2-2.入れ歯の寿命は?

入れ歯は、プラスチック製の土台の上に人工歯が並んでいて、歯茎の上に直接載せます。

 

部分入れ歯の場合、クラスプというバネを残った歯に引っかけて固定します。

やはりクラスプをかけた歯には余計な力がかかり、歯垢なども溜まりやすいので、虫歯や歯周病になりやすい状態となります。

 

また、土台の素材のプラスチックは劣化しやすいため、あまり長くは持ちません。

 

長くても4~5年で作り直したほうがいいでしょう。

3.インプラントの寿命が短くなる5つの理由

通常は、ブリッジや入れ歯などの他の治療法に比べて、非常に長持ちするインプラントですが、状況によっては数年で使えなくなってしまうこともあります。

 

決して安くはないインプラントですから、できるだけ長く、可能ならば一生使い続けたいものです。

 

インプラントの寿命が短くなってしまう主な理由5つを紹介します。

これらの原因を避けて、長く大切にインプラントを使いましょう。

3-1. メンテナンスを怠っている

インプラントが必要になる原因は人それぞれですが、日頃の歯の手入れを怠り、虫歯を悪化させてしまったという人は、インプラントを入れたからといって決して安心しないでください。

 

歯の手入れの習慣を身に付けないと、インプラントがすぐにだめになってしまうかもしれません。

 

インプラントを装着した後も、歯磨きや歯間ブラシなどを使ったメンテナンスは重要です。インプラントの人工歯にも歯垢はつきますし、人工歯と歯茎の間に歯垢がたまり炎症を起こすことがあります。

 

これを「インプラント周囲炎」とよびますが、歯周病とほとんど同じ症状が現れます。

むしろ、天然の歯よりも進行しやすいといえます。

 

インプラント周囲炎が進行すると、歯茎が衰えたり、インプラントを支えている骨が痩せたりしていきます。

そうなると、インプラントの基礎部分が露出し、最悪の場合、脱落してしまいます。

3-2. 歯ぎしりや食いしばりの癖がある

寝ている間に歯ぎしりをしたり、無意識に食いしばったりする癖のある人がいますが、歯ぎしりや食いしばりは歯や顎に大きな力がかかります。

このため、インプラントが緩んでしまうことがあります。

 

また、強い力がかかることによって、インプラント周囲炎が悪化する可能性もあります。

3-3. 喫煙の習慣がある

喫煙にはさまざまな害が指摘されていますが、歯の健康にも悪影響を及ぼします。

喫煙をすると血管が収縮して歯茎に栄養が届きにくくなるなどして歯周病にかかりやすくなりますし、歯についたヤニは虫歯菌のすみかとなって虫歯の原因にもなります。

 

インプラントに関しては、喫煙によって骨とインプラントが結合する力が弱まります。

また、免疫力の低下で感染症リスクが高まるという指摘もあります。

 

このため、患者の喫煙量によってはインプラント治療を避ける歯科医師もいます。

3-4. 持病がある

糖尿病や骨粗鬆症といった病気も、全身の免疫力を低下させ、インプラント周囲炎を悪化させるリスクが高まります。

 

持病のある人は、インプラント治療を受ける前に歯科医師とよく相談し、治療後は健康管理に努めましょう。

3-5. 適切な手術が行われなかった

インプラント治療を行うには、事前の十分な検査と綿密な治療計画の策定が欠かせません。

 

インプラントを埋め込む際には、治療後の歯並びを考えて慎重に行う必要があります。

不適切な位置や角度にインプラントを埋め込んでしまうと、歯並びが乱れたり、インプラントが脱落したりすることがあります。

 

インプラント治療を受ける際は、知識と技術、経験を持ち合わせた歯科医師を選ぶ必要があります。

4.インプラントの寿命を伸ばす3つのポイント

インプラントを長持ちさせるには、日頃の歯の手入れと定期的な歯科医院でのメンテナンスが大切です。

 

インプラントの寿命を延ばすための3つのポイントを紹介します。

4-1. インプラント周囲炎を予防する

インプラントの大敵はインプラント周囲炎です。

周囲炎になる原因は、歯周病とほぼ変わりませんから、日々の歯の手入れが大切です。

食事の後には、歯垢や食べかすが残らないように丁寧に歯を磨きましょう。

 

特に、虫歯の進行で歯を失った人は、それまでの歯の手入れに問題があったはず。

インプラント治療を機に、しっかり歯をケアする習慣を身に付けてください。

 

4-2. 定期的なメンテナンスを受ける

日頃、どんなに自宅で丁寧に歯を磨いても、歯ブラシで落とせる歯垢は6割程度だと言われています。

このため、自宅でのケアだけでは、やがて歯に歯石がつき、虫歯菌や歯周病菌の温床となってしまいます。

 

そのため、大切なのは歯科医院での定期的なメンテナンスです。

 

歯科医院で定期的にメンテナンスを受け、歯垢や歯石を取ってもらえば、口の中を清潔に保てることができますし、インプラントの具合もチェックしてもらえます。

もちろん、歯磨き指導で、正しいケアの方法を教わることもできます。

4-3. 歯に大きな負担をかけない

歯ぎしりや食いしばりによって、インプラントに大きな力がかかると、破損などの原因となってしまいます。

 

しかし、歯ぎしりや食いしばりはマウスピースを装着することで、歯や顎への負担を和らげることができます。

気になる人は、歯科医院で専用のマウスピースを作成してもらうといいでしょう。

 

また、喫煙も歯を支える歯周組織にダメージを与えます。

喫煙習慣のある人は、インプラント治療を機に禁煙に挑戦しましょう。

まとめ

インプラントは適切な治療を受け、大切にケアを行えば、一生使い続けられる可能性があります。

少なくとも10年から15年はしっかり機能するはずです。

 

保険外診療となり高額な費用が必要となる治療法ですから、数年で使えなくなるようでは意味がありません。

適切なケアで、インプラントにはできるだけ長く活躍してもらいましょう。

この記事が気に入ったら「評価」ボタンを押してください!

★★★★★

評価する

関連記事