持病がある方のインプラント治療

インプラント手術を受けたい方の中には、様々な持病を持っている方も少なくありません。

 

しかし、こうした病気の中には、インプラント手術を受けるのが難しくなってしまう場合もあります。

 

今回は、慢性疾患とインプラント治療の関係についてまとめていきます。

目次

1 インプラント治療が難しい慢性疾患

インプラント治療は、インプラント体を埋め込むことが十分にできる骨の厚みと、手術しても問題ない体力と体調が必要です。

 

しかし、中には持病によってインプラント手術を受けることが難しいケースもあります。

1-1 歯周病

歯周病は、歯茎と歯の隙間に細菌が溜まってしまうことで歯肉が炎症を起こし、歯を支えている骨が溶けたり、歯肉が弱くなったりする生活習慣病です。

 

歯周病が重症化すると抜歯が必要になります。

歯周病が原因でインプラントを希望する方もいるのではないでしょうか。

 

しかし、歯周病によって抜歯にまで至っている場合、歯を支える歯槽骨(しそうこつ)まで細菌によって溶かされているケースが多く、すぐにはインプラントの治療を進めることができません。

 

もし、インプラントを埋め込めたとしても、炎症を起こしやすい状態が続いているので、傷口の治りが遅く、最悪の場合には傷口が炎症を起こして、インプラントが抜け落ちる可能性があります。

 

そのため歯周病と診断された方は、インプラント手術を受ける前に、まずは歯周病の治療から始めることになります。

1-2 一部の肝臓病・肝機能障害

肝臓病・肝機能障害は大きく分けて2パターンあります。

1つはウイルス性肝炎、もう1つは生活習慣による脂肪肝・肝炎などです。

 

ウイルス性肝炎の場合には、インプラント治療を受けることができます。

事前にウイルス性肝炎だということを、歯科医院に伝えておく必要があります。

 

ただし、病気が進行して肝機能が著しく低下した状態であれば、ウイルス性・生活習慣由来に関わらず、治療を断られるケースもあります。

 

これは、術後に行う投薬治療が難しくなったり、血が止まりにくくなったりするリスクが高くなるからです。

1-3 糖尿病

糖尿病の場合も、一般的には施術を受けることは難しくありません。

ただし、クリニックによっては断られる可能性もあります。

 

なぜなら糖尿病の場合は、免疫力が低下しやすく、傷が治りにくい、血糖値のコントロールが難しいなどの術中・術後のケアが難航するからです。

 

こちらも、事前に糖尿病の担当医師に相談が必要です。

 

その他にも、生活習慣病の治療に使っている薬によっては、インプラント手術が難しいケースもあります。

 

2 どのようなリスクがある?

持病を抱えている中でのインプラント治療は、どのようなリスクがあるのでしょうか。

2-1 出血が止まりにくい・傷口が治りにくい

脳梗塞や心筋梗塞の発症を経験している方は、血液が固まりにくくなる薬を飲んでいる場合がほとんどです。

 

こうした薬は、血の塊(血栓)を作りにくくする働きがあるのと同時に、止血がしにくくなります。

 

そのため、こうした薬を服用している方は、手術時に血が止まらないリスクがあるのです。

 

特にインプラント手術では出血が伴うので、医師の指導の下、事前に服薬量を抑えるなどの処置が必要になるケースもあります。

 

また、糖尿病や肝臓病などの場合、傷口がなかなか治りにくいという問題もあります。

 

傷口が治りにくいと、インプラントとあごの骨が固着しにくく、治療期間が長くなりがちです。

 

さらには、傷口の治りを待っている間に、別の感染症にかかるリスクが増します。

2-2 炎症を起こしてインプラントが抜ける

生活習慣病が原因で、免疫力が低下していることがあります。

 

免疫力の低下は、インプラント体と歯肉の間に菌が入り込んでしまった時に、炎症を引き起こしやすいです。

 

手術中や縫合後は、菌が繁殖しにくい清潔な環境を保つことができれば感染リスクは軽減できます。

 

それでも、健康な方より免疫力が低下しているため細菌感染しやすく、インプラント脱落のリスクが高いことは把握しておきましょう。

2-3 血糖コントロール不良によるショック死

糖尿病の場合、低血糖や高血糖から体調不良、けいれん、意識混濁が発生するリスクが高いです。

 

このような血糖コントロール不良は、最悪の場合、ショック死を引き起こす重大な問題です。

 

ただし糖尿病の場合、医師が判断したうえで適切な連携が取れていれば、インプラント手術は可能と判断される場合があります。

 

自分の命を守るためにも、担当医師・歯科医師への事前相談は必ず行っておきましょう。

3 治療院によっては対応できる場合もある

歯科医師によっては、持病を伝えると「インプラント治療はできない」と言われてしまうケースもあるかもしれません。

 

こういった場合、他のクリニックでは、対応してもらえることもあるでしょう。

 

しかし、本当にそれだけで大丈夫なのでしょうか?

3-1 担当医師・歯科医師への事前相談は必須

まず何よりも大事なことは、持病の治療をしてくれている担当医への確認です。

 

具体的には、「インプラント手術を受けたいと考えているが、自分はそのような治療を受けても大丈夫か」と確認してください。

 

持病の状態次第では、歯科医ではなく担当医師からストップがかかる可能性もあります。

 

もちろん、担当医師の判断とは別に意見が聞きたい時は、セカンドオピニオンを取ることも可能です。

 

担当医師がOKを出したのに、歯科医師から「当院では治療できない」と断られた場合は持病があっても、インプラント治療を行ってくれる歯科クリニックを探すと良いでしょう。

 

3-2 できれば持病を治してからインプラントを

完治が可能な病気であれば、なるべく治してから治療を受けることが望ましいです。

 

A型肝炎の場合は慢性化しないタイプの肝炎なので、肝炎の治療が完了してからインプラントを受けることをおすすめします。

 

また歯周病については、インプラント治療より、歯周病治療が優先になります。

4 慢性疾患がある場合は必ず担当医師・歯科医師に事前相談を

持病があったとしても、多くの場合は投薬コントロールでインプラント手術を受けることができます。

 

ただし、持病の状態が悪く、投薬コントロールが難しい場合には、医師から許可が下りない可能性があります。

 

かといって、担当医師や歯科医師に黙ったままインプラント手術を受けるのは避けてください。

 

持病を隠したまま手術を受けることは、様々なリスクを伴い、ショック死などという最悪の事態に陥りかねないからです。

 

慢性疾患の治療の担当医師に相談の上、適切な方法でインプラント手術を受けるようにしましょう。

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