「事故やケガ」で歯を失ったときの治療法とは?保険や歯科医院選びについても解説

事故やケガで歯を失ってしまうと精神的にショックが大きいですよね。どのように治療すればいいのか、費用はどのくらいかかるか、不安なことも色々あるでしょう。ここでは以下のような疑問にお答えしていきます。

 

・失った歯の治療法にはどんなものがあるのか?それぞれのメリット・デメリットは?

・事故やケガで失った歯の治療には保険は効くのか?任意保険は使えるの?

・どの歯科医院に相談すればいいのか?

目次

1 事故やケガで歯を失ったときの4つの治療法

1-1 入れ歯(義歯)

歯が抜けてしまっときには真っ先に「入れ歯」をイメージする方も多いのではないでしょうか?

 

入れ歯はシンプルな治療法なので、お口の状態にかかわらず幅広く対応できるのが特徴です。

 

メリットは、他の歯を削ったり手術をしたりすることなく手軽に治療できること。治療は歯型を取るだけなので麻酔も必要ありません。保険の入れ歯なら治療費は5,000〜1万円ほどと安く済むのもポイントです。

 

デメリットとしては、噛む力が弱く、入れ歯特有の違和感があることが挙げられます。さらに問題なのは、歯茎に負担がかかってしまうこと。使っているうちに歯茎がどんどん痩せていくことで入れ歯が合わなくなるため、定期的な調整や作り直しが必要です。

 

また、特に若い方は入れ歯に抵抗があるという方も多いですよね?保険の部分入れ歯だと、隣の歯に金属のバネを引っ掛けて固定するので、口を開けたときに一目で入れ歯とわかってしまうのも難点です。見た目や噛み心地は自費の入れ歯にすることである程度改善できますが、費用は高額になります。

1-2 ブリッジ

ブリッジは、失った歯の両隣の歯を土台にして橋を架けるように人工の歯を作る治療法です。

 

早ければ1〜2週間で治療が終了し、そこそこ強く噛めるのがメリット。見た目は普通の被せ物なので、入れ歯に抵抗感のある若い方にもおすすめです。

 

ただし、隣の歯の状態が悪ければ治療はできません。事故やケガで歯を失った場合は周囲の歯もダメージを受けているケースも多いので注意が必要です。

 

ブリッジのデメリットは土台となる歯に大きく負担がかかること。将来的にその歯も抜歯となるケースが多く、連鎖的にどんどん歯を失ってしまうリスクも……。ブリッジによる治療を繰り返した結果、結局入れ歯やインプラントになる方も少なくありません。ちなみに、奥歯のブリッジの寿命は7年程度です。

 

また保険治療のブリッジの場合、前から4番目以降の歯は銀歯になるので笑ったときに目立ってしまうことも。自費治療なら見た目の綺麗なセラミック素材で作れますが、失った歯が1本だったとしても作る被せ物は3本分。思ったより費用が高額になりがちなので注意してくださいね。

1-3 インプラント

インプラントは、歯茎にチタン製のネジを埋め込んで人工の根っこを作ることで、天然の歯とほぼ同じ状態を再現できる治療です。見た目も自然で、自分の歯と同じくらい強く噛めます。

 

また、入れ歯やブリッジのように他の歯や歯茎に負担をかけず長持ちするので、お口全体の健康にとってもメリットの大きい治療です。

 

外科手術が必要なので不安に思う方も多いですが、知識・経験豊富な歯科医師であれば大きな心配はありません。

見た目も自然なので、「入れ歯には抵抗がある…」「健康な歯を削りたくない」という方におすすめです。

 

デメリットは、基本的に保険がきかず費用が高額になること。ただし、適切な治療と定期的なケアをすれば理論的には半永久的に使えるので、長い目で見ればコストパフォーマンスの高い治療といえるでしょう。

1-4 再植・移植

事故やケガで抜けてしまった歯を回収できたらラッキー!

元に戻す「再植」ができる可能性があります。治療できるかどうかは状況にもよりますが、自分の歯が元どおりに使えば嬉しいですよね。治療を成功させるポイントは以下の3点。

 

・抜けた歯をキレイに洗う(水道水でOK)
・歯の根っこを乾燥させないように保つ(抜けた穴にスポっと戻すのがベストですが、牛乳につけておくのも◎)
・なるべく早く歯科医院にいく(1時間以内なら成功率は高まります)

 

残念ながら抜けた歯が見つからなかった場合は、「移植」という方法もあります。

親知らずや矯正で抜歯した歯を使うことが多いでしょう。ただ、大きさや形が合わなければ治療できないので、移植できるケースは少ないのも事実です。

 

再植・移植は自分の歯を取り戻せるのが最大のメリットですが、大体5〜10年で何かしら問題が出てくることも覚えておきましょう。また、再植は基本的に「保険」で治療できますが、移植は「保険適用外」になることもあります。

2 事故やケガで失った歯の治療に保険は適用されるのか

2-1 健康保険の適用は虫歯などの治療と基本的に同じ

事故やケガによって歯を失った場合でも、保険適用になるルールは通常の治療と基本的に同じです。前歯の目立つ部分を失ってしまったとしても、バネのない自費の入れ歯や審美性の高いセラミックブリッジが保険適用になるようなことは残念ながらありません。

 

しかし、顎の骨が大きく欠損してしまった場合にはインプラント治療に保険が適用されるケースがあります。この場合は、口腔外科やインプラントで一定の経験がある歯科医師のいる大学病院などでの治療に限られるので注意してください。

2-2 事故の場合は加入している任意保険から治療費が支払われるケースも

自動車による交通事故で歯を失ってしまった場合は、自費治療であっても相手の加入する自賠責保険から治療費が支払われます。事故の責任が自分にあるか相手にあるかによって変わりますが、最低でも治療費の80%を請求できます(100%自分に過失がある場合を除く)。

 

ただし、治療内容によって上限があり、総額として最大120万円までです。相手が任意の自動車保険に加入していた場合は、それを超えた分の治療費も請求できます。

 

自身で傷害保険に加入していれば、自動車事故でなくても治療費を請求できるケースもあるでしょう。任意保険の場合に保障される治療内容や金額は保険によって変わりますので、保険会社に問い合わせてください。また、仕事中の事故によって歯を失った場合は労災保険を使える場合もあります。

3-3 事故により歯を3本以上欠損した場合は「後遺障害等級認定」される場合も

歯を失ったことによる精神的苦痛は大きなものです。自動車による交通事故や仕事中の事故が原因で歯を失った場合、後遺障害が認定されるケースがあります。欠損した歯の本数に応じて等級が決まり、以下の通り治療費とは別に慰謝料が支払われます。

 

14級 三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 75万円
・13級 五歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 139万円
・12級 七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 224万円
・11級 十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 331万円
・10級 十四歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 461万円

 

事故直後で完全に歯を失っていなかったとしても、診断の結果、抜歯することになったり、歯の3/4以上損傷していたりすれば「欠損」とみなされます。

3 事故やケガで歯を失ったときの歯科医院の選び方

歯科治療は、内科や外科、皮膚科などのように細かく分野が分かれています。歯科医師にもそれぞれ得意な治療とそうではない治療があるのです。事故や歯で失った場合は、適切に対処できる知識と経験をもった歯科医院を選ぶことが重要といえます。

3-1 口腔外科や補綴(ほてつ)を得意としている歯科医師に相談する

第一に口腔外科の専門医のいる歯科医院を選びましょう。事故やケガで歯を失った場合は、他の歯はもちろん、顎の骨にもダメージを受けている可能性があるからです。

 

また、入れ歯や被せ物の治療を専門とする補綴(ほてつ)が得意かどうかもポイントです。失った歯をただ埋めるだけでなく、全体の噛み合わせのバランスも考えて治療をする必要があります。ちなみに経験豊富なインプラント専門医は口腔外科と補綴の両方を得意としています。インプラントは、適切な外科手術を行い、噛み合わせを考えた精密な人工歯を作らなければ成功しないからです。

3-2 事故やケガによる治療の経験が豊富な歯科医院を受診する

事故やケガによる治療の実績が多い歯科医院を選ぶのも重要です。外傷によって歯を失った場合は通常の歯科治療とは異なる診断やアプローチが必要になることがあります。一見、歯を数本失っただけに見えても、他の歯の根元にヒビが入っていたり、顎の骨がズレて噛み合わせに異常をきたしていたりするケースがあるからです。

 

また、保険会社への治療費の請求や後遺障害の認定手続きには、歯科医師による書類の作成が必要になることがあります。特にインプラントなど高額な治療については、その治療方法が妥当だという歯科医師による証明が重要です。トラブルを避けるためにも、このような事務手続きも適切に対応してくれる歯科医院が望ましいでしょう。

4 事故やケガでお口や顔を強打したら歯科医院の受診を

事故やケガによって歯を失ったときは、なるべく早めに歯科医院を受診するのが大切です。

 

健康保険では通常と同じ治療になりますので、費用を気にせず自分の納得のいく治療をするために、自賠責保険や任意保険による保障を受けられるか事前に確認しておきましょう。

 

最近では、事故により歯を失った場合のインプラント治療にも任意保険が使えるケースも増えてきているようです。信頼のできる歯科医院に相談しながら、後悔のないよう治療を検討してください。

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