インプラント治療前に「シミュレーション」することの重要性

「想定した場面を分析すること」がシミュレーションの意味です。

 

インプラント治療は失敗したら、またやり直せば良い治療ではありません。

特にインプラントは、外科手術が必要になるので、手術による身体的、精神的負担は、多少なりともあります。

 

また、インプラント治療は、他の治療に比べると治療期間が長くなることもあるので、失敗したら、さらに治療期間が延びることになりかねません。

失敗が許されない治療だからこそ、もっと確実性を高める取り組みが大切になります。

 

そこで、今回はインプラント治療前に行うシミュレーションの重要性について、分かりやすく解説していきます。

目次

1 シミュレーションで「お口の状態を精査する」

インプラント治療前にシミュレーションする目的は、インプラント治療の成功率を高めるためです。

 

シミュレーションをしないと、インプラント治療は成功しないの?と言われたら、そんなことはありません。

しかし、シミュレーションを行うことで、より成功率を高めることができます。

 

例えば、口の中や口周りは複雑な構造になっています。

血管や神経が複雑に交差していて、一般的なX線写真では写らない場合もあります。

X線で確認できない神経や血管に気づかずに、そのままインプラント手術をすると、傷つけてしまう可能性があるのです。

 

歯科用シミュレーションソフトは、CT撮影のデータを元にして、口の中や口周りの状態を3D画像で再現することができます。

 

360°の角度から、口の状態を確認することができるので、インプラント治療計画が立てやすくなります。

2 シミュレーションはインプラント事故を防ぐ

インプラント治療をする前に、シミュレーションをすると、インプラント事故を未然に防ぐことが可能です。

 

インプラント事故が起こる原因は様々ですが、その原因の1つに計画不足があります。

特にインプラント治療は、外科手術を行うので、様々な角度から見た、予測や分析が必要です。

 

例えば、

この位置でインプラントを入れて大丈夫だろうか?

インプラントの長さや大きさは適切か?

など、一つ一つのことを疑いながら治療計画していくのが、事故を起こさないためにも重要になります。

 

しかし、人間の目だけで、確認できる部分には限界があります。

そこで、様々な角度から見ることができる、シミュレーションソフトが活躍するのです。

シミュレーションソフトでは、次のようなことがわかります。

 

骨の量、厚さや骨質

インプラントを入れる位置

インプラントの大きさ

神経や血管の位置

インプラントを入れる周辺の状態

 

さらに、シミュレーションしたデータを元に、サージカルガイドを作製します。

サージカルガイドとは、インプラント手術で使われるドリルをサポートする装置のことです。サージカルガイドには「穴」が開いており、そこにインプラントを埋入することで正確にインプラントを埋め込むことができます。

 

また、サージカルガイドを使うことで、ガイドサージュリー(歯茎を切らない手術)でインプラント治療をすることができる場合があります。

 

ガイドサージュリーは、シミュレーションで治療計画が細かく決められているからこそ、できる手術方法です。

 

特に、痛みや腫れを軽減することができるのが、ガイドサージュリーのメリットになります。

 

シミュレーションをすることで、

どういった手順で治療をするのか

最終的にどうなるのか

などの治療に対してのイメージが明確になり、患者さんも安心してインプラント手術に挑むことができます。

 

安心してインプラント治療ができることがしっかりと分かれば、もっと多くの方が、インプラント治療を選択しやすくなるでしょう。

3 シミュレーションする「6つのメリット」

インプラント治療をする前にシミュレーションすると、次のような6つのメリットがあります。

 

骨の状態がわかる

安全性、確実性が高まる

手術の時間短縮になる

多くの症例に対応できる

痛みや腫れが少なくなる

イメージがしやすい

 

それぞれについて詳しく解説していきます。

3-1:骨の状態がわかる

インプラント治療をするにあたって、骨の状態は重要です。

骨の量や厚さは、インプラントをしっかりと固定できるかに関わってきます。

シミュレーションで、インプラントを入れるのに十分な骨があるのかを、360°から確認することで、治療計画をスムーズに立てることができます。

 

また、「骨の質」もポイントになります。

骨の質とは、骨の密度のことです。

近年では、隠れ骨粗しょう症という言葉もあるくらい、骨粗しょう症になっている自覚が無い方もいる程です。

 

骨粗しょう症の骨は、骨の中がスカスカで脆くなりやすいのが特徴になります。

骨質が良くない状態でインプラントをすると、インプラントと骨の結合状態が上手くいかずに、抜けてしまう可能性があります。

長くインプラントを使い続けるためにも、シミュレーションで骨の質も把握することが必要です。

3-2:安全性、確実性が高まる

インプラント治療では、安全性や正確性が求められます。

口の周りは、多くの神経や血管が複雑に交差している構造になっていて、歯科医院にあるX線写真だけでは、全てを確認することは出来ません。

 

特に注意しなければいけないのが、下顎管と上顎洞です。

下顎には、下顎管という太い神経があり、傷つけると麻痺が残ることもあります。

上顎には上顎洞といって、目の下から鼻にかけての空洞があります。

上顎洞を誤って突き抜けると、細菌感染から、副鼻腔炎を起こす可能性があるのです。

 

シミュレーションをして、神経などの位置を明確にできることで、安全性はもちろん、インプラント手術の確実性が高まり、治療の成功に繋がります。

3-3:手術時間の短縮になる

シミュレーションソフトは、実際のインプラント手術を再現することが可能です。

そのため、インプラント手術当日は、シミュレーションを事前にしているので、スムーズに治療を進めることができるので、手術時間の短縮になります。

 

手術の時間短縮は、患者さんの身体的負担を減らすことにも繋がります。

3-4:多くの症例に対応できる

シミュレーションすることは、多くの症例に対応できるようになることでもあります。

例えば、インプラントを入れたい部分の骨量が足りない場合には、骨造成(骨を増やす手術)が必要になります。

骨造成の手術方法にはいくつかあって、どの骨造成の方法が適切なのかをシミュレーションすることができるのです。

 

また、インプラントが難しいとされる症例でも、シミュレーションをして、インプラントの長さや太さを変更することで、治療が可能になるケースもあります。

3-5:腫れや痛みが少なくなる

骨の状態やインプラントを入れる位置などが明確になっていると、術者がメスを入れる部分を最小限に抑えることが可能になります。

 

痛みや腫れは、メスを入れる範囲が広かったり、無駄に骨を削ったりすると症状として出やすくなります。

3-6:イメージがしやすい

X線は平面的な写真なので、インプラント治療のイメージがしにくいのがほとんどです。

 

シミュレーションは、3D画像で立体的に画像変換することができます。

また、神経は黄色、骨は青などと、色分けして表示することも可能で、見やすいのも特徴です。

 

自分の口の中の構造が、目の前に飛び出してきたような画像になっているので、インプラント治療のイメージがしやすく、治療に対しての不安が減ります。

4 シミュレーションは「多くの安心を生み出す」

・安全性の安心

・術者の技術面の安心

・治療内容を理解できる安心

・不安を少なくする安心

このように、シミュレーションは、多くの「安心」を生み出します。

 

現在では、安心してインプラント治療をするために、シミュレーションは欠かせないコンピューター技術になっています。

 

安心で安全なインプラント治療を受けたい方は、担当医にシミュレーションを取り入れているかを確認してみましょう。

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