インプラント治療を過去に行ったが、「失敗」してしまった方へ

インプラントの10~15年の累計生存率は上下とも90%程度と高い一方、インプラントの需要が高まるにつれ、治療後のトラブルも増加傾向にあります。

 

ただインプラント治療を失敗してしまった場合でも、早い段階で適切に対処することでトラブルを解決できるケースも少なくありません。

 

そこで今回は、不幸にもインプラント治療を失敗した際にどのようや処置や治療が行えるのか、また治療を失敗しないために注意すべき点などをご紹介していきます。

 

 

 

目次

1.インプラントに多い失敗事例とその原因

はじめに、インプラントで起こりやすい失敗事例とその原因についてみていきましょう。

 

1-1.インプラント周囲の歯ぐきの腫れ・痛み

チタン製の人工歯根(フィクスチャ―)をあごの骨の中に埋め込む手術の直後は、その傷口が治るまでに歯ぐきに痛みや腫れをともないます。

 

ただ治療が終わってもなお痛みや腫れが引かない、あるいは治療後しばらくして歯ぐきに痛みや腫れが生じた場合は、インプラントの周囲に何らかの問題が発生している可能性が高いでしょう。

 

インプラント周囲の歯ぐきの腫れや痛みは、術後の細菌感染や治療後に発症する「インプラント周囲炎」でよくみられます。インプラント周囲炎は放置しておくとインプラントのグラつきや脱落の原因になるため、早めの対処が必要です。

 

1-2.インプラントの被せ物が壊れる・外れる

治療後しばらくは問題なく使えていたインプラントも、ある日を境に被せ物が壊れたり外れたりするトラブルに見舞われることがあります。

 

このようなトラブルは、インプラントの構造のうち「上部構造(人工歯)」と「アバットメント(連結部)」に問題が生じていることが原因で起こりやすくなります。

 

※上部構造(人工歯):インプラントで実際に歯の役割を果たす部分

※アバットメント:上部構造(人工歯)と人工歯根(フィクスチャ―)をつなぐ部分

1-3.インプラントが根元からグラつく・外れる

インプラントが根元からグラついたり、インプラント本体が外れたりケースでは、あごの骨の中に埋め込まれた人工歯根(フィックスチャ―)の周囲に問題が生じています。

 

その原因として、インプラント手術の不備(設計ミス・術者の技術不足)術後の細菌感染治療後に発症したインプラント周囲炎などが考えられます。

1-4.うまく噛めない

インプラントを入れても食べ物がうまく噛めない、あるいは噛むと痛みがあるといったトラブルは、主にインプラントの上部構造(人工歯)の噛み合わせに問題に原因が潜んでいます。

 

ほかにも先に述べた上部構造の破損(被せ物が壊れた)や人工歯根の動揺(インプラントがぐらつく)などが原因となるケースもみられます。

 

1-5.唇に麻痺・しびれが残っている

下の奥歯のインプラント治療では、治療後に唇の違和感や痺れなどのトラブルが発生するケースもあります。

 

これはインプラント手術の際に下のあごの骨の中にある神経を傷つけてしまったり、インプラントの人工歯根が神経を圧迫していたりする際に生じやすくなります。

2.インプラントが失敗した時のリカバリー治療(再治療)

インプラント治療が失敗した場合でも、以下のようなリカバリー治療(再治療)で症状を改善したり、インプラントを正常な状態に回復させたりすることができます。

2-1.痛みや腫れが続く時

インプラント周囲の痛みや腫れについては、患部の消毒や薬剤(抗菌薬・消炎剤など)の服用などを行いながら症状の改善を図り、あわせてその原因を詳しく診査していきます。

 

インプラント周囲炎が原因の場合は、インプラントに付着したプラークや歯石などの汚れを取り除くほか、必要に応じて外科的治療等も行います。

2-2.インプラントの上部が壊れた・外れた時

インプラントの上部構造(人工歯)が割れたり壊れたりしたケースでは、ただちに修理・新製(新しく作り直す)を行います。

 

また上部構造とアバットメントをつなぐスクリュー(ネジ)の緩みによって上部が動いたり外れたりするケースでは、スクリューを締めなおすことでトラブルが改善されます。

2-3.インプラント本体がグラつく・外れた時

インプラント本体がグラついたり外れたりした際は、まずその原因を解明した後に、再度インプラント治療が可能かどうかを検討していきます。

 

例えば、もともとあごの骨の量が不足してインプラント本体が維持できなかったケースでは、骨の量を増やす治療をあわせたインプラントの再手術を検討します。

 

治療後のインプラント周囲炎が原因の場合は、インプラント周囲炎や他の歯の歯周病に対する処置を先に行い、病状が改善した段階でインプラントの再手術を検討していきます。

2-4.インプラントでうまく噛めない時

インプラントで食べ物がうまく噛めないケースでは、まずインプラントと対合歯(インプラントと噛み合う歯)の噛み合わせを確認し、調整を行っていきます。

2-5.唇に麻痺やしびれが残った時

インプラント治療後の唇のしびれや麻痺については、まずレントゲンやCT検査を行い、インプラント本体が神経を圧迫している場合は、速やかにインプラントの除去を行います。

 

あわせて薬剤(ビタミンB12製剤)の服用神経に対する治療を行い、症状の改善を図っていきます。

 

 

3. インプラントのリカバリー治療(再治療)を受ける際の注意点

インプラント治療後のトラブルについては、まず実際に治療を受けた歯科医院に相談してください。ただその歯科医院で十分な対応が得られない際や歯科医院への不信感で受診が困難な際は、他の歯科医院でセカンドオピニオンを受け、今後の処置を検討していきます。

 

他医院にてセカンドオピニオンや再治療を受ける場合は、インプラントの再治療に実績のある歯科医院を受診することをおすすめします。その際には、これまでの治療経過やトラブルの内容の記録し、担当医に詳細を正しく伝えられるよう準備しておきましょう。

 

また可能であれば、前医院(インプラント治療を受けた医院)に治療で使用したインプラントのメーカーを確認しておくと、今後の対応がスムーズに進みやすくなります。

 

日本では現在、国内外をあわせ数百社以上のインプラントが使用されていますが、メーカーによって製品の特徴や部品の形状などが異なります。そのため自身が治療で使用したメーカーを次に受診した歯科医院が採用していない場合、再治療が受けられない可能性もあるため注意しましょう

 

※インプラントメーカー:インプラントの部品を製造・販売している会社

4.インプラント治療で失敗しないために

インプラント治療で失敗しないためには、治療を受ける側にも気をつけるべきこと、心がけるべきことがあります。これからインプラント治療をご検討の方は、以下の点に十分ご注意ください。

 

4-1.事前の情報収集をおこたらない

インプラントについては、治療を受ける側も事前にインプラントに関する基礎知識を身につけておくことが大切です。

 

インプラントの構造や治療法、費用はもちろんのこと、インプラント治療にともなうリスクについても情報を集めておきましょう。インターネットを活用する場合は、信頼のおけるサイトで情報収集を行なうようにしてください。

4-2.インプラント治療に実績のある歯科医院を選ぶ

インプラント治療では“費用面”や“治療にかかる期間”なども気がかりですが、費用の安さや期間ばかりに気を取られるのは、後のトラブルの元となるため注意しましょう。

 

歯科医院を選ぶ際は、まず治療を担当する歯科医のこれまでの実績や技術の習得状況(学会や研修の参加など)をしっかり確認しておくことが重要です。あわせて、歯科医院の設備(歯科用CTの設置)や衛生管理などもチェックしておきましょう。

4-3.「治療のリスク」についてもしっかり説明を受ける

外科手術を行うインプラント治療では必ずリスクがともない、またそのリスクは個々のお口の状態や健康状態によって異なります。

 

治療を受ける際は、自身に起こりうるリスクについても事前にしっかり説明を受けましょう。

4-4.治療後のメンテナンスを継続する

インプラントは治療してもなお、メンテナンスを継続して行うことが肝心です。メンテナンスについては治療後に担当医から「どのような内容で」「どのぐらいの期間で」など説明がありますので、その指示に従いながら正しい管理を行っていきましょう。

5.まとめ

「見た目がキレイ」「食べ物がしっかり噛める」と定評のあるインプラントですが、一方でインプラント治療にはさまざまなリスクがともなうことも知っておかなければなりません。

 

インプラント治療を受ける際は、万が一トラブルに見舞われた際にどのような処置を行ってもらえるのかも、事前にしっかり確認しておきましょう。

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